僕なりのEDHデッキの構築方法その1
2015年10月17日 EDH コメント (1)※この記事はとても長いので暇な時に読むか適当に斜め読みしてください
今回はいつものカード紹介とは趣を変えて、EDHデッキの組み方について書いていこうと思う。
先に断っておくが、これは僕個人の組み方であり、もっとも効率的だとかいったつもりで書くわけではない。そもそもEDH始めて1年半くらいでデッキもコピーが大半だから、そこそこくらいに受け取って、感想とかあると嬉しい。
晴れる屋のコラムなどでも同じようなことは書かれているし、他にも書いている人は多数いる。それらも見て、自分なりの組み方を考えてほしい。
ではさっそく始めよう。
まず初めに、当然ではあるが、デッキの統率者、ジェネラルを決める。
ジェネラルをはデッキの色を決めるし、ジェネラルの特性によって
デッキの方向性が決まることも多々ある。
ジェネラルを決める時に考えてほしいことがいくつかある。
1つは色。EDHにおいて一般的に青や黒が強く、白は弱い。
具体的には白はダブルシンボルが出ないことが多く(出したくない)、
そもそもデッキ内の白いカードが数える程になることが多い。
青はFoWも撃てるし、ダブルシンボルを出すだけの価値のある
強力なカードが多い。また、EDH特有のマナ加速の恩恵も受けやすい。
各色の役割については概ねカラーパイ通りだ。
特筆すべきものとしては黒のサーチの異常な強力さ、
緑のマナ加速とアーティファクトヘイト(無垢への回帰など)の強み、
赤いカードの無にする力の大きさ(燎原の火や壊滅など)、アーティファクトヘイト(溶融や汚損波)、
青はドロー、サーチ、妨害(カウンターとバウンス)と強力なものの塊、
白は悟りの教示者、ソープロ、終末といった数少ない汎用的に強いカードと
石のような静寂、沈黙のオーラのような置物ヘイトカード。
第二に当然のことではあるが、ジェネラルの性能。
例えばその能力であったり、パワーであったり、マナコストであったり。
ジェネラルの持つ能力は構築に大きな影響を与える。
それは例えばシートンであったり、ズアーであったり、わかりやすいものだ。
なるべく早く出しておきたい能力を持つならマナ加速を大量に
突っ込んで最速キャストを狙うようになるし、
攻撃で誘発するなら速攻付与や追加戦闘。
といったようにデッキの方向性も見えてくる。
能力をはもちろん多彩なもので、デッキの特色が出やすくなる。
すでに出した名前ではあるが例えばシートンなら大量のドルイド、
ズアーならサーチ対象になるエンチャント。
これらは他のデッキでは真似することが難しく、
専用パーツの多い個性の出たデッキになることが多い。
個人的にだが、こういった選択はEDHらしいゴミカードの塊になることも多く
デッキ構築が楽しいので、変わった能力のジェネラルを使うのはオススメできる。
そして第三にパワー。これはEDH特有のルールである
「ジェネラルダメージ21点で勝利」
というものが関わってくる。
つまり例えばパワー7以上なら3パンで相手を沈められる優秀なスペックだ。
飛行などの回避能力がデフォルトであると便利なところだ。
EDHでライフ40を3人倒すのは当然結構骨が折れるもので、
数を並べて押し切るデッキでないならジェネラルダメージを狙うことになる。
この手段を補助するために考えられることは
ジェネラルダメージを入れやすいように除去や回避能力付与、
倒すまでが縮まるパンプ呪文や装備品。
これもわかりやすいものだろう。
基本的には上の3つの要素から、
デッキの方向性や構成のイメージを作り上げていくことになる。
ジェネラルが選択できたなら、ある程度のデッキの方向性が見えてくるだろう。
では次にその方向性をもっと具体的、強固なものにしよう。
つまり、具体的な勝ち筋というものを定める。
勝ち筋には大別して3パターンがある。
ビートダウン、コンボ、コントロールだ。
EDHのような多人数ゲームで通常のマジック同然の
3つのデッキタイプが作れるのか……?と思う方もいるだろう。
特に、コントロールは対戦相手が3人もいて難しく見えるだろう。
しかし僕はこの3つがあると考えている。
それぞれ説明していこう。
まずはビートダウンだ。
これはこの3つの中ではもっとも真っ直ぐなものだ。
有名なジェネラルだと《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord(CHK)》などだろうか。
前述したようにジェネラルのスペック、特に回避能力やパワーあたりを見ると
ビートダウン向けのジェネラルというのはわかりやすいだろう。
こういったビートダウン戦略をサポートするのは俗にワンパックパーツと呼ばれる
ジェネラル+1枚で相手にジェネラルダメージ21点を与えノックアウトするものだ。
基本的にはジェネラルがパワー7相当であることが望ましい。
なぜならそれよりも低いパワーだと殺すまでにかかるターン数が伸びるからだ。
そして、ビートダウンにおいて継続的な強化パーツというのはどうしても重くなる。
たとえばエンチャントや装備品だ。修正値も低いものが多く、複数枚必要になりがちだ。
そうなると一枚一殺の精神で、1度につき1枚ずつ消費してもいいからなるべくコンパクトに
もしくはロスの少ない方法で倒すほうが効率的だろう。
パワーの高いジェネラルなら上記のワンパックパーツを使用することで楽ができるだろう。
しかし、同じ殴りジェネラルでも相手にダメージを与えることで能力を誘発させるタイプの
殴りジェネラルの場合は少し違ったアプローチが必要となる。
この戦略において秀でているカラーはおそらく、赤と黒だ。
赤には《凶暴な打撃/Savage Beating(DST)》や《致命的な激情/Fatal Frenzy(PLC)》、
《破壊のオーガ/Wrecking Ogre(GTC)》といったパワーを大幅に上げるカードや
《今を生きる/Seize the Day(ODY)》、《連続突撃/Relentless Assault(6ED)》といった
複数回の戦闘を可能にするカードが多数ある。
また、《最後の賭け/Final Fortune(6ED)》のようないわゆる首パァンで無理矢理に誰かを殺すことも多い。
そして黒にはなんといっても、最大のワンパックパーツがある。
それは《憎悪/Hatred(EXO)》だ。
回避能力のひとつでも持っているだけでこのカードは簡単に相手のライフを刈り取る。
多彩なサーチによりフィニッシュ時のみ持ってくることができるため、
たった1枚のパーツでも欲しい時に探しやすいだろう。
《憎悪/Hatred(EXO)》の欠点はペイライフのせいで2度目の使用が望みづらいところと、
撃ったあとの自分の命の圧倒的な無防備さだろう。
装備品でも《生体融合外骨格/Grafted Exoskeleton(SOM)》や《炎叫びの杖/Fireshrieker(MRD)》、
《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice(DST)》などはビートダウンをより強いものにしてくれるだろう。
特に《炎叫びの杖/Fireshrieker(MRD)》はそれほど見かけない印象があるが、
《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai(DTK)》のようなダメージを与えることで
アドバンテージを得るジェネラルの場合はとても良い働きをしてくれるだろう。
次にEDHの華、コンボだ。
コンボについてはこれを読んでいる皆様もたくさん知っているだろう。
そう、合計120点もの対戦相手のライフを削ることは難しい。
ならば何を以って相手を倒すか?簡単だ、無限コンボでまとめて倒してしまおう。
モダンの双子コンボに代表されるように60枚構築の上位デッキにも無限コンボを軸としたものは多数ある。
そしてヴィンテージにも匹敵するEDHのカードプールならより多くの、
より早く、より安定した(ハイランダーなのに何故か安定する)コンボが可能だ。
有名なところでもバサルトブライトゴブリンキャノンだとか
未来独楽覚醒の兜だとか、挙げ始めればキリがない。
これらのコンボの利点は言うまでもなく基本的に達成=勝利であるところだ。
逆に弱点は、コンボに”しか”使えないカードがデッキに入ってしまうことだ。
先ほど挙げたワンパックパーツのようにジェネラルとの1枚コンボの場合はまだ許容範囲だろう。
しかし、たとえば
《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith(LEB)》
《ブライトハースの指輪/Rings of Brighthearth(LRW)》、
《ゴブリンの大砲/Goblin Cannon(5DN)》。
この3種類を揃えるとして総マナコストが3+3+4、そしてサーチ方法が被るアーティファクト同士、
また最低限のマナ加速になるモノリスはともかく、コンボ達成まで大した仕事をしない2枚。
軽く挙げてみただけでいくつもの問題点を持っている。
先に明言しておこう。
僕はこういった、コンボのためだけのコンボパーツというものを強いとはまったく、思っていない。
コンボとは複数のシナジーの中から生まれ、デッキ全体を歪めることなく搭載できるものこそが強いコンボだ。
もしくは単純な1枚コンボ(もしくは限りなくそれに近いもの)は強いといえる。
基本的にはこういったスタンスでいる。弱いカードをデッキに入れるとデッキは弱くなるのだ。
ただ勘違いして欲しくないが、コンボという勝ち筋自体は非常に強力な選択肢だと強く思っている。
ただ、そのために入れるコンボ専用のパーツがよくない、ということだ。
そういった話は稲荷もしてくれているので、興味を持った人はついでにでも読んで欲しい
(→第四回EDHカード紹介:《Power Artifact》 http://9thtailmohumohu.diarynote.jp/201509051701415859/)
ではコンボ。どのようなジェネラルがコンボを選ぶのか?
これはあまりにも可能性が多すぎて簡単にくくることができない問いだ。
どの色にもコンボはあり、搭載する可能性はいくらでも生み出せる。
よって、そこにあるのは
「コンボをして勝つジェネラル」
ではなく
「コンボをすることが得意なジェネラル」
だろう。
極々簡単、わかりやすい一例を挙げるなら
Oona, Queen of the Fae / 妖精の女王、ウーナ (3)(青/黒)(青/黒)(青/黒)
伝説のクリーチャー フェアリー(Faerie) ウィザード(Wizard)
飛行
(X)(青/黒):対戦相手1人を対象とする。色を1色選ぶ。そのプレイヤーは、自分のライブラリーの一番上からX枚のカードを追放する。この方法で追放された選ばれた色のカード1枚につき、飛行を持つ青であり黒である1/1のフェアリー(Faerie)・ならず者(Rogue)クリーチャー・トークンを1個戦場に出す。
5/5
どうだろう?おそらく一目瞭然だとは思う。
そう、ジェネラルキャストも含めても青か黒が合計4+3マナ、そこに加えて無限無色マナ。
たったこれだけの条件でキミの勝ちだ。
これはジェネラルが無限マナ後の勝利パーツとして機能しており、実質的に
コンボ全体での必要カード枚数を減らしているのが優秀、コンボ向きであるということだ。
コンボという勝ち手段を選ぶ場合ジェネラルの能力だけでなく色も大きな意味を持つ。
例えば、黒は万能サーチがとても多く、当然コンボデッキでは大活躍するだろう。
しかしそれ以上に青は強力なインスタント・ソーサリーへのアクセスとしてのチューターや、
アーティファクトの高速展開から繰り出されるTimetwister(通称TT)などの手札回復、
コンボに入る時のカウンターでのバックアップなど、多数の役割を持つことができ、
おそらくコンボ最強のカラーだろう。
しかしこの広いEDH界、何も決まった組み合わせを作るだけがコンボではない。
上では2枚コンボなどの場合を話したが、それ以外にもコンボはある。
いわゆるチェインコンボと呼ばれるものがある。
その基本的な動きは
マナ加速(リチュアル系の一時的な大量加速であることが多い)
↓
ドロースペル、サーチスペル
といった複数のカードと多様な関係を持ち、それぞれを状況に応じて繋げていくことで
最終到達点(全員にトドメを刺す手段)まで至るというものだ。
こういったコンボの場合は
《煮えたぎる歌/Seething Song(9ED)》
《戦いの賛歌/Battle Hymn(AVR)》
といった大幅にマナを増やしうる加速や
Wheel of Fortune
《魂の再鍛/Reforge the Soul(AVR)》
を擁する赤と、
マナクリーチャーを展開し、
《集団潜在意識/Collective Unconscious(MMQ)》
《巫師の天啓/Shamanic Revelation(FRF)》
《系図の石版/Slate of Ancestry(ONS)》
といったクリーチャー枚数分ドロー、もしくは
《生命の遺産/Life’s Legacy(M15)》
《魂の威厳/Soul’s Majesty(CON)》
などのクリーチャーのパワー・タフネスを参照するドローを擁する緑が強いと言える。
もちろん、青も各種TT亜種やマナファクト加速+《転換/Turnabout(USG)》でガチャガチャすることも可能だ。
マナファクトなどの加速に寄ると《倍化の立方体/Doubling Cube(5DN)》もとても強いだろう。
典型的なコンボ以外にもジェネラルの個性の出るコンボも多数考えられる。
他にも様々なコンボがあるが、ここではこれくらいにしておこう。
では最後、おそらく想像のつきづらいであろうコントロールデッキ。
これはいわゆるところの「無にするEDH」というやつだ。
そもそも3人も対戦相手のいるEDHでどうやってコントロールをするのか?
それに60枚構築に比べて圧倒的にゲームスピードの早い卓も多い。大丈夫なのか……?
答えはイエス。手法も簡単だ、皆が早いなら皆にゆっくりしてもらうのだ。
《三なる宝球/Trinisphere(DST)》
《燎原の火/Wildfire(USG)》
《破壊的な力/Destructive Force(M11)》
《壊滅/Devastation(S00)》
《死の雲/Death Cloud(DST)》
5つほどあげてみたがどうだろう。
各対戦相手に大きな影響を与えることができるカードばかりだ。
下の4つはアーティファクトにはなにもしないので自分はそれらで加速することで被害から逃れることができる。
緑系のデッキは大きなダメージを受けるだろうし、実質的に脱落だろう。
こうして実質的なプレイヤー数を減らすことでコントロール側は盤面を支配しやすくするのだ。
しかしこれらでは土地や生物を壊せても相手のマナファクトという基盤は残ってしまう。
ではワイルドファイアなどから逃れた相手のアーティファクトはどうするのか?
簡単だ、複数枚を破壊できるような置物対策を採用するのだ。
《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman(ALL)》
《汚損破/Vandalblast(RTR)》
《荒残/Rack and Ruin(ULG)》
《ヴィーアシーノの異端者/Viashino Heretic(ULG)》
《核への投入/Into the Core(MBS)》
《破壊的脈動/Shattering Pulse(EXO)》
《破壊放題/Shattering Spree(GPT)》
これらのカードによって(おそらく相手は採用していても汚損破くらいだろう)優位に立つのだ。
延々と相手のリソースを減らしていき、自分はアドバンテージを稼ぐ手段を用意しておくことで
相手のやる気ともども破壊していくことになる。
後日デッキリストを挙げる予定の《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms(JOU)》などはこれだ。
しかしこのコントロールデッキ、ジェネラルを見て思い浮かぶものではない事が多い。
というよりも普通は思い至らないようなデッキなのだろう、と思う。
しかしこうして知ってしまった皆様には機会があれば一度くらいは組んでみて欲しい。
相手が何も出来ないままドローゴーするのを見る愉しみを共有したい。
だいぶ長くなったので、勝ち筋の説明の終わりを機に一度切ろう。
ここから先は次回、説明することにする。
長々とお付き合いいただきまことにありがとう。
コメント
次回楽しみにしています